動画だけでは伝えきれなかった
「トラウマの対処法」についての
補足説明です。

 

●人の記憶は書き換えられる!

過去を変えることは不可能です。

けれども、
人の記憶は書き換えられます。

 

その方法が「トラウマの対処法」です。

 

これは、
過去のトラウマに苦しむ人に
効果的な療法です。

 

人の記憶はあいまいです。

 

よく、
「自分に都合よく記憶をすりかえる」

「記憶が美化される」

などと言うように、

人はときに、記憶を無意識に
書き換えています。

 

トラウマの対処法では、
それを意識的に行うのです。

具体的にどうすればいいかというと、

まず、人間の記憶は、
ビデオテープのようなものだと
考えてみてください。

 

ビデオテープに上書きするときは、

 

(1)ビデオテープを巻き戻す
     ↓
(2)新しい映像を録画する

 

という手順で行いますが、

記憶を書き換える場合も同じです。

 

(1)記憶を巻き戻す
     ↓
(2)上書きしたい情景をイメージする

 

という手順で、記憶が書き換わります。

 

ただ、
知っておいていただきたいのは、

記憶が書き換わるといっても、
記憶そのものを消すわけではなく、

 

記憶に対する
「捉え方」「感じ方」などを
変えるという意味での書き換えです。

 

●なぜ嫌な出来事を何度も思い出してしまうのか?

そもそも、人が過去の嫌な出来事を
何度も思い出したり、

夢に見たりするのは、
そこに「未完の思い(後悔の気持ち)」が
あるからです。

 

「本当はこうしてほしかった!」

「こうすればよかった!」

 

という思いが強すぎて、
何度も何度も思い出してしまうのです。

 

そこで、

トラウマの対処法では、
自分が「こうしてほしかった」
というストーリーに
記憶を書き換えることで、

 

その未完の思いをイメージの中で
完遂(果たす・満たす・叶える)
させます。

結果、後悔の思いが消えて、
嫌な出来事を思い出しにくくなります。

 

ただ、記憶を自分にいいように
書き換えるとは言っても、

嫌な出来事すべてを
「なかったこと」にするのは
おすすめしません。

 

過去の挑戦や失敗を
なかったことにしたら、
自分の成長にはつながらないからです。

 

同じような失敗を繰り返してしまう
場合だって考えられます。

「失敗したけれども、
自分の力でなんとか挽回した」

というふうに、

次につながるようなストーリーに
書き換えるようにしましょう。

 

●ただし例外はあります。

いじめや配偶者からのDV、
親からの過干渉や虐待など、

自分ではコントロールできない
問題の場合は、

「自分でどうにかした」

という記憶に書き換えるのは、
無理があります。

 

そういう場合は、

いじめの記憶を、

「クラスの友だちと仲よく遊んでいる記憶」

に書き換えるなど、

嫌な出来事をなかったことにしても
構いません。

 

自分の気持ちが1番スッキリする
記憶に書き換えましょう。

 

また、トラウマの対処法を
一度行ったからといって、

嫌な記憶を、全く
思い出さなくなるわけではありません。

 

思い出すたびに
記憶を書き換えるように
してみてくださいね。

 

すると、
いつからか嫌な出来事を
思い出さなくなったり、

思い出してもストーリーが変わっていて、
嫌な感情が伴わなくなったりします。

 

●「トラウマの対処法」の効能

嫌な出来事があって、
そのとき嫌な気持ちが生まれるのは
当然のこと。

 

けれどもその感情も
いつかは流れ去っていきます。

 

それなのに、

終わったはずの過去の出来事に
いつまでも苦しめられる人が
大勢いるのはなぜでしょうか?

 

それは「予期不安」のせいです。

 

予期不安とは、

嫌な出来事に遭遇して
それが心の深い傷となり、

 

「また同じようなことがあったら
どうしよう?」

 

と不安になってしまうことです。

 

パニック障害の発作も、
この予期不安が原因といわれています。

 

パニック障害とは、
突然、恐怖や不安に襲われ、

動悸、息切れ、窒息感、震え、
めまいといった
パニック発作を起こす不安障害の1つです。

 

一度パニックになると、
また発作を起こすのではないかという
「予期不安」によって、

それが発作を誘発することに
つながると考えられています。

 

トラウマの対処法は、
この予期不安をなくす効果があります。

 

過去の嫌な記憶を
書き換えてしまうのですから当然です。

 

予期不安がなくなれば、
それに伴う嫌な感情もなくなります。

 

また、トラウマの対処法は、
過去だけではなく、

未来の不安を解消するのにも
役立ちます。

 

たとえば、

「うまくいかなかったらどうしよう?」
と考えてしまうとき。

 

最初は
「うまくいかなかったらどうなるか」と、
最悪の場合をイメージします。

 

次にその映像を巻き戻し、
今度はうまくできた場合を思い描いて、
イメージを上書きすればいいのです。

 

「うまくいかなかったら・・・」

と思うたびに行えば、
未来への不安は徐々に薄れていきます。

 

ぜひ、試してみてくださいね!

●第4回 トラウマの対処法(実践編)
https://online-course.jp/cp/maeda7lesson-day4