動画だけでは伝えきれなかった
「人との上手な距離感のとり方」
についての補足説明です。

 

●人は出来事に苦しんでいるわけではない

嫌な出来事に遭遇すれば、
だれでも

「つらい」
「苦しい」
「悲しい」

といったネガティブな感情になります。

 

けれども、
ふつう感情は長く続きません。

 

徐々に薄れていくものです。

 

それなのに、

ネガティブな感情が長く続いたり、
何度も繰り返し襲ってきたり
するのであれば、

その原因は、
「嫌な出来事」にあるのではありません。

 

多くの場合、
脳の中でつくり上げた
「イメージ」に原因があります。

 

たとえば、

学生時代、告白して失恋した思い出が、
青春のキラキラしたイメージとして
記憶されていれば、

思い出しても嫌な感情は
起こらないでしょう。

 

逆に、胸がきゅんとしたり、
温かい気持ちになったり、
ポジティブな感情になると思います。

 

けれども、
同じ失恋した思い出が、
暗いどんよりした映像として
イメージされていたらどうでしょう。

 

「つらい」「悲しい」という
感情が沸き起こります。

 

このように、感情は

「出来事→イメージ→感情」

というプロセスで生まれ、

どのような感情が生まれるかは、
イメージに左右されます。

 

そのため、
感情を無理に変えようとしても
うまくいきません。

 

 

●イメージを書き換える「NLP」とは?

そこで、

マイナスなイメージを
プラスのイメージに変換することで、
感情をコントロールしようというのが
「イメージ療法」です。

 

ここでのイメージ療法の
基になっているのが「NLP」です。

 

NLPとは、

“Neuro Linguistic Programing”

の頭文字からつけられた名前で、

 

日本語では
「神経言語プログラミング」と呼ばれます。

 

1970年代にカリフォルニア大学に
在籍していた、
リチャード・バンドラーと
ジョン・グリンダーによって
提唱された心理療法です。

 

 

NLPは、

人の思考・行動パターンを
変化させることで、

感情のコントロールのほか、

 

コミュニケーション力や
目標達成力を高めたり、

ビジョンの発見を助けたりする
効果があると言われています。

 

実際、さまざまなスポーツ選手や
世界的なビジネスマンが実践している
手法です。

 

6回目の動画では、
NLPの手法をいくつかご紹介しました。

 

では、NLPを複合的に使った事例を
1つご紹介しましょう。

 

 

●複合的NLPを実践したBさんの事例

NLPは、いくつかの手法を複合的に
利用しても効果があります。

Bさんの事例をご紹介します。

 

Bさんは、

自分が経験したことではないにも
かかわらず、

2011年3月11日に起きた
東北大震災の映像を思い出すと
怖くて涙が止まらなくなるので
困っていました。

 

家や人がものすごい勢いで
津波に流されているイメージが
しょっちゅう頭に浮かんできて、

それをあたかもその場所で
自分が目撃しているように
感じてしまうというのです。

 

そこで、私は、
次のような手順でNLPを使った
イメージ療法を行ってもらいました。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

(1)頭の上にスクリーンを思い浮かべ、
そのスクリーンに津波のシーンを
映し出してもらいます。

それを映画のワンシーンとして
自分が見ているとイメージし、
当事者から傍観者へとイメージを
変換します。

 

(2)海の水がすべて流れて、
更地になったところを
イメージしてもらいます。

そこに、
花咲かじいさんがやってきて
桜の種を大量にまきます。

すると、
たくさんの芽が出て成長し、
立派な桜の木になります。

 

(3)桜が満開になって、
スクリーンは桜のピンクで
いっぱいになります。

そのスクリーンをどんどん
大きくしていきます。

桜のほのかな香りも感じます。

 

(4)桜の木のまわりに小鳥や動物が
集まってくる様子をイメージします。

小鳥が枝に止まって、

ちゅんちゅんとかわいらしい鳴き声を
聞かせてくれます。

桜の木の根元には
猫が気持ちよさそうに
日向ぼっこしています。

そこにうさぎがぴょんぴょんと
はねてきます。

 

(5)画面からかわいい猫が飛び出してきます。

その猫を抱っこしてあげて、
そのふわふわのやわらかい感触を感じます。

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

私が声かけ(ナビゲート)しながら、
怖いイメージをどんどん明るく
楽しいイメージに変換させていくことで、

Bさんの気持ちは、
その場で楽になっていきました。

 

また、
このようなイメージ療法を
繰り返すことで、
震災の映像を思い出すことも
なくなりました。

 

●第6回 人との上手な距離感のとり方(実践編)
https://online-course.jp/cp/maeda7lesson-day6